指を捜して [今日のおとめちゃん]

夜、ちゃんと寝てるかなー、と思って、見に行ったら、寝てない。
真っ暗闇の中で這いつくばって、なにかを捜している様子。

「なにしてんだ、くぉらーっ」
思わず、品位なく叫ぶ。

電気を点けて、座らせて。
「どうして夜なのに寝ないの?」
「うーん」
曖昧にうなって、おとめちゃん、自分の裸足の足を、指でこする。

「なにか捜してたの?」
「ないの」
「なにがないの?」
「うーん」
敷布団を持ち上げて、下をのぞいたりしてる。

「フラフラしてるんだから、ちゃんと寝ないと、また怪我するでしょう?」
「一本しかない・・・」
「一本? なにが?」
「なくなっちゃった」
と、指で足をスリスリとする。
「靴下? 靴下は寝る時は履かないよ」
「うーん」
「靴下はいらないから、そのまんま寝ちゃいなさい」
「うーん」
と、やっぱりスリスリ。

「ない・・・」
「なにが」
「指。一本か・・・二本か、わかんない」

指か!
ついに手の指をなくしたか!
さすが、おとめちゃん。シュールだぜ。

「大丈夫だよ、とめちゃん。指はいっぱいついてるよー。ほら、いっぽーん。にほーん・・・」
一本ずつ、一緒に数えて。
きっちり十本。
「よかったねー、とめちゃん。十本あったよー」

「紙に包んであるから、何本か分からなくなった」
ほほう。今度は紙に指を包んだか。
ってか、どこからその連想?
なんとなくミステリー小説の古典みたいな・・・。

「じゃあ、もいっかい数えよう。いっぽーん」
「いっぽーん」
「にほーん」
「にほーん・・・」
一緒に数えること、三回。
「とめちゃん、十本全部ちゃんとあったよ。よかったねえ」
「よかったねえ」

ホントに良かった。
やっと寝た。

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